東京高等裁判所 平成2年(ラ)47号 決定
そうすると、仮に抗告人ら主張の事実が認められるとしても、抗告人らの本件建物に対する占有は、東京海上火災保険株式会社の抵当権の実行による差押えよりも前ではあるが、これに先行する国民金融公庫の仮差押え後に設定された賃借権に基づいて開始されたことになるところ、執行手続上、仮差押債権者に対抗することができない不動産上の権利の取得は、売却により消滅するものとされている(民執法五九条二項)など仮差押えには差押えに準ずる効力が認められていることにかんがみると、このような場合には、売却許可決定が確定するまでの間に仮差押えの効力が消滅しない限り、仮差押えの登記がなされた時をもって、民執法八三条一項本文の差押えの効力発生時と解するのが相当であるから、抗告人らの本件建物に対する占有は、差押えの効力発生前からの占有と認めることができず、抗告人らは、本件不動産引渡命令を受けることを免れないと言わなければならない。
(橘 安達 鈴木)